2007年5月14日

PM-G730をモノクロ専用プリンターにする。

G5500にはグレーインクとライトグレーインクがある。これを使って安価にモノクロ専用フォトプリンターを作れないか。
ということで、K→マットブラック、CMY→グレーインク、LM,LC→ライトグレーのインク構成で、遊んでみた。

結果は、かなりいい。階調がとにかくなめらかで、おだやかである。黒潰れしにくく、白飛びもしにくい。モニターでは見えない部分を表現できる感じだ。
ブラックをフォトブラックにすると明るい感じに、染料ブラックにするとほどよく黒がしまって光沢紙のツヤも残っていい感じだ。

しかし、問題がふたつ。

ひとつは、カラー画像データをそのまま、プリンターでプリントするので、CMYのバランスが崩れる。明るい黄色も暗い青も同じグレーの濃度で印刷してしまうのだ。例えば、緑の葉っぱのシャドウなどが不自然に塗りつぶされたりする。難しい計算で各色のグレーバランスを割り出してもみたが、とりあえずプリンタードライバーでC-10、Y-25ぐらいで不自然さは消えていい感じになる。

これを回避するには、元画像をグレースケールにしてしまう手もあります。普通、プリンターでカラー画像をモノクロプリントするときには、画像をグレースケールに変換して、プリンター側でカラー印刷を選び、色味を調整します。こうすると、画像データの情報量はRGB→グレースケールで1/3になってしまうのです。この改造プリンターの場合はカラーから直接の方が結果がいいです。

もうひとつは、どうしても仕上がりが黄色っぽい事。これはグレーインクがちょっとだけ黄色っぽい性のようである。写真によってはこの感じがぴったり来る場合もあるだろうが、かなり気になる。これさえなければ、きっとG5500ともいい勝負ができたろう。しかし、現在は詰め替えインクやリフィルキットがたくさん売られている時代。自分で6色の濃度の違うグレーインクを調合してセットすれば、最強のモノクロ写真プリンターを作ることも夢ではなさそうだ。

あまりいい写真がなくて参考にならないが、一応紹介しておく。


元画像を小さくしてます。


グレースケールだとモニタではこんな色。


プリントしたのをスキャン。スキャンすると色味がまったくかわるので、近くなるよう調整。ほんとにもうちょっとだけ黄色みがなくなれば、実用的なんだけどなあ。
改良
ちょっとだけ黄色っぽいのは気になりますが、画質がかなりいいので、調整してみました。CMYKのカラーチャートをG730でモノクロプリントしたものと、このカラーチャートをモニター上でグレースケールに変換したものを比較してみます。やはりバラバラです。カラーをグレースケールにすると、マゼンダが一番濃く、次がシアン、イエローはものすごく薄いグレーになります。これを再現しなければ、バランスが崩れます。

そこでインク構成を替えてみました。濃度差を利用して、フォトブラックをマゼンダ、イエローをライトグレーにしてみたのです。

K→マットブラック、C→グレー、M→フォトグレー、Y→ライトグレー、LC→グレー(ライトグレーがなかったのでとりあえず)、LM→ライトグレー。これでチャートをテスト印刷し、プリンタ側で調整すると、ドライバーでC-20、M+5、Y-10で素人目にはかなりいいバランスになりました。これで写真プリントすると、ほぼ、カラー写真をモニター上でグレースケールにした時の、濃度、トーンで印刷できました。本とにきれいです。ちょっとだけ黄色いのを除いて。

ネットでフリー素材をさがしてテストプリントしてみました。

元画像

Photo by (c)Tomo.Yun
http://www.yunphoto.net

グレースケール

G730モノクロプリント

ご興味のあるかたは、オリジナルデータをダウンロードしてPHOTOSHOPなどで見比べてみてください。
でかいファイルですが。紙の色もあってモニター上と全く同じにはなりませんが、結構いいプリントなのでは。黄色っぽいのは、このように民家のような古い素材や猫などの動物、人物などではプラスに働く気もします。だんだん見慣れてきました。

さて次は、青インクをちょっとだけ加えるか、用紙で色が変わるものなのか。

↓↓オリジナルデータ
民家画像元データカラー

民家画像元データグレースケール

G730モノクロプリントスキャン画像

A4サイズにプリントしたのを360DPIでスキャンし、プリント結果に近くなるよう、レベル調整、明度調整しました。色ころびが全くないというのは気持ちがいいです。紙はエプソン純正光沢紙。最初に画像アップしてから3週間ぐらい。あまりに古いモニターを使っていたので、買い換えたところ実際のプリントよりとても黄色く見えていました。ので、画像を再調整しアップしました。そして、目の錯覚ではなく、黄色みが実際に時間とともに少し消えてきたようです。紙になじんだのか、紙の色が変わったのか?

試せる範囲でいろいろな用紙でプリントしてみました。光沢紙はどうしても黄色が強くでます。クリスピア、絹目、ピクトリコなど。そのなかで、一番銀塩っぽく黒く見えるのは、エレコムの写真用紙の超特厚でした。
マット系の紙のほうが、セピアっぽくはなりません。PMマット顔料専用などでは、かなり重厚な絵になります。試したなかでは、エレコムのペーパークラフト専用紙が一番でした。この紙には赤みがあり、インクの黄色を打ち消してくれるようで、これなら黒といえるレベルです。プリントも明るめでコントラストがきいた感じになります。やはり、紙で全然違いますね。

ここまで遊んでくると、他の可能性も見えてきます。モノクロ写真のプリントだけではもったいない。
他のモノクロ作品。例えば、デッサンやクロッキー、書道家の作品など、モノクロでの濃淡を充分に生かしたプリントも楽しそうです。なにより顔料インクだからにじみも少なく、耐久性があり、専用紙でなくてもプリントできるのですから。

補足

インク構成また変えました。

K→マットブラック、C→グレー、M→フォトグレー、Y→ライトグレー、LC→ライトグレー、LM→グレー。
プリンタードライバー、明度+12、コントラスト-5、C-25、M-20、Y-25(参考)。
プリンタードライバーでグレーバランスを調整するのは難しいです。濃度が違うのだから当たり前ですが。画像データをグレースケールにしてプリントした方が結局バランスが崩れずに無難です。画質の低下は特にありません。前回のインク構成でカラーデータからのプリント画質の方がよく感じたのは、インク構成がコントラストを高める組み合わせになっていたからそう感じていただけのようです。

補足2

プリンタードライバーでの調整をあきらめ、フォトショップでの調整に切り替えた。
インク構成は上記のもので、プリントもマニュアル設定でノーマルのまま、クリスピア、スーパーフォトを選ぶだけです。

元画像データをCMYKモードにして、レベル調整。各チャンネルの出力をC70,255、M110,255、Y130,255、Kそのままで設定します。これで、いままでいくらやってもうまくいかなかったグレーのバランスがとれました。
この、なんだか色のうすいカラーデータをそのままG730モノクロ改でプリントすると、ほぼ、モニターで見る画像をグレースケール化したものとピッタリになります。ここからは好みで、画像補正しましょう。
階調が半分ぐらいになっている色もありますが、もともとプリンターで256階調など表現できないので、プリント画質の低下は特に感じません。

温黒調と冷黒調

PX-5500は、プリンタドライバーで温黒調とか冷黒調など、モノクロプリントの色をコントロールできるようになっている。
しかし、このG730モノクロ改ではややセピア調にプリントは出来るものの、色はつけられない。紙を選んで少し変えることはできるけど、5500にはかなわない。

一度、なんとか色調を変えられないかと、シアン3%、マゼンダ5%の全面ベタ塗りなどもしてみたが、ダメだった。
そしてしばらくのジャンク遊びのあと、2回プリントを思いついた。セピア調を打ち消すためごく薄いカラーデータをつくり、それをあらかじめプリントしてから、モノクロプリントするのである。

PHOTOSHOPで元画像のカラーデータRGBをグレースケールに変換後にCMYKモードにする。レベル調整を選択し、各チャンネルの出力を調整する。

YとKは出力を255,255にする。つまり出力しないということ。Cを150,255、Mを200,255にすると、左のような冷黒調用のカラー補正用画像データが出来る。これを同じ機種(可能なら)のプリンタでカラープリントする。

それから、画像データを元に戻し、補足2のレベル調整をしてから、G730モノクロ改にてモノクロプリントする。

これは予想以上にうまくいった。心配した版ズレもほとんど起こらない。例え1ミリずれても、ごく薄い色の補正なので、全体に与える影響は少なく、ボケたり、色が浮き出たりはしない。

左はG730モノクロ改のモノクロプリント。真ん中はC240,255、M200,255の補正プリント+モノクロプリントで温黒調?右は上記のデータで冷黒調に。今回の補正プリント、実はG800のジャンクで行いましたが、ズレはなかったです。エプソンの精度は大したものですね。染料インクで補正プリントしても同じ効果は得られましたが、補正プリントを先にしないとインクがはじかれてしまいます。どうせならオール顔料でいきたいところです。
顔料には混色すると濁りやすい性質もあり、濃いベタ塗り部分ではうまく色がのらない場合もあります。無難なのは染料です。
5500は同じような事をドライバーでやってるのでしょう。1台ですからドットが重なる事もなくきれいにいくのでしょう。

目視では色転びは確認できないレベルであり、これなら画質でも5500に対抗できそうです。
でも、紙によって色の出方がかわりますし、もともとモノクロの中の僅かな色合いにこだわるというのがモノクロ好きでしょうから、テストプリントを本番と同じ紙で繰り返して調整しないと、満足は得られないかもしれません。

G730なら2台で18,000円ぐらい。(インク代を引くと実質6,000円!)それにPX5500のインクが12本で約13,000円。プリンターだって3○系のインクが使えるジャンク品や中古でもかまわないので、2万円あれば、始められます(要フォトショップ)。

A4までという制約がありますが、印刷コストは5500よりもかなり安く済むでしょう。
画質は力量次第で上回ることも可能かもしれません。だって解像度では勝ってるんですから!!?

セピアカラー

よせばいいのに、グロスオプティマイザーとモノクロインクを調合して、6色モノクロインクを作ってみた。グロスオプティマイザのカートリッジから中身を抜き取り、精製水で2倍に希釈すると約30ミリリットルになる。これに31黒インクから抜き取った黒インクを加える。詰め替えには、使い終わったエレコムの詰め替えインクボトルが便利だ。ゴム栓は必需品。

薄い方から順に、Y0.5、LC2、LM2.5、C5、M7.5ミリリットルのブラックを加え、各カートリッジに注入。かなり適当である。グロスオプティマイザのカートリッジは、詰め替えには案外便利だ。もともと色がないので、混色の心配がない。普通のカートリッジでは内部のフィルターの部分などにはインクが残りやすく、洗浄はかなり大変。顔料の場合はタンク内のスミにインクがこびりついてさらに洗浄しにくい。同じ色のインクなら問題ないけれど。

さて、G730にセットしてクリーニング2回。詰りもなく印刷できた。シアンとマゼンダはインクが充分分散していないのか、ちょっと安定しない。薄めすぎたかな。それにしても自分は浅はかだった。カーボンブラックの黒インクだけなら、真っ黒なプリントになると思ったが、結果は見事なセピアカラーである。ちょっと赤黒い感じだ。真っ黒に近い部分では黒になるが、薄い部分ほどセピアになる。原因は、粒子とインクドットの細かさ、樹脂分の光の反射、紙の性などだろうか?普通紙ならほぼ黒でプリントされるのだが、マット紙、光沢紙と高画質になるほどセピアになる。かなりがっかりしたけれど、冷静に見れば画質はなかなかいいかも。


元画像をグレースケールにしたもの。モノクロ写真というのは、明暗がはっきりしているなかにトーンがあるのがかっこいいのだとあれこれプリントしてそう感じた。全体に明るい画像なんかはどうにもしまりがなくてつまらなく見える。


G730セピア?で普通紙プリント。普通紙では充分黒いのだが。
どうやら、ブラックの顔料と、グロスの粒は交わらない。というか、大きさや質量が違うのだろう。あんみつの中の黒豆と寒天のようなもの?インクドットが大きい普通紙のときはとくに安定しない。塗りつぶし部分がマダラのようになったりする。
グロスは使わずに、精製水とグリセリンだけで薄めるだけのほうがいいのか?


マット紙にプリント。ちょっとセピアがかってくる。


光沢紙にプリント。きれいにセピア。階調のなめらかさはさすがにピカイチ。


シアンの補正プリント+G730セピアの2度刷り。こうすれば、まあ純黒調に近くもできる。よかったよかった。でも毎回2度刷りはつらい。あらかじめ黒インクにシアンを少量加えてから調合すればいいはずだが、加減は難しそう。


最初に5500のグレーインクで遊んでいたときにモノクロプリントしたもの。光沢紙では青緑っぽさが強くでる。
これは黒、フォト黒、グレー、ライトグレーの擬似4色(実質3色?)。セピア6色と比べても階調表現の差は見られない。
現在の高解像度のプリンターならモノクロ専用は4色プリンターで充分では。しかし、エプソンの現在のラインナップからは、写真プリントに適した4色プリンターは消えてしまった。A750なんか遊ぶのにはベストなのだが。630はあまりに遅すぎだし、写真でなく普通紙に最適化されている。


これは、G800で極力色かぶりを抑えてカラープリントしたもの。RGB→グレースケール→CMYK→チャンネルごとのトーンカーブを双子山のような形に調整の末、ちょっと青いけどまあまあのプリントが出来た。作業としては面白いけど、これを紙ごとにやらなくてはいけないし、決して完璧にはならない。染料インクでは退色も早いし、色ごとにそのスピードも違う。いつまでモノクロを保てるか?

実用性はともかく、以外と経済的ではある手作りセピアインク。グロスオプティマイザはインクカートリッジよりとても安く、さらに薄めて?使えるから2倍は作れる。黒インク2本とグロス5本で5000円弱。これでグレーインク分は2セット分ぐらい作れる。
A4が100枚ぐらいはいけるから、マット紙代とあわせても、1枚70円てとこかな?
たかだかモノクロにここまで!と思うかもしれませんが、ものは考えよう。モノクロフィルムを自家現像する手間と機材のコストに比べたら、インクの調合なんて簡単で安いものです。
ここまでやってみましたが、もっと簡単にインクはそのままでも高画質なモノクロプリントが出来る事がわかりました。

Quadtone Ripでモノクロ&カラープリント


モノクロにも色がある。たとえ完全にナチュラルなグレーインクがあったにしても、紙との組み合わせで色合いがかわる。グレーインクとカラーインクの併用で、微妙な色調を作りだしていくPX-5500やPX-5600はよく考えられている。6色グレーインクは、明部のなだらかさでは負けないが、一発芸的だ。いい写真でも撮れたらまたトライはしてみたい。(2008/10)

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